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株式会社山寿セラミックス

私たちが毎日使っているスマートフォン。
通話やインターネット通信が当たり前のようにできるのは、実は「特殊な結晶」の働きによるものです。
今回は、その重要な素材をつくっている株式会社山寿セラミックスの本社工場にお邪魔しました。
同社は、通信機器に欠かせない“単結晶(たんけっしょう)ウェーハ”という高機能材料を製造するメーカーです。
「単結晶ウェーハって、聞き慣れない言葉ですよね」と、案内してくださった担当者は笑顔で説明してくれました。
「これは、原子が規則正しく並んだ、とても純度の高い結晶を薄くスライスしたものなんです。スマートフォンの中には『SAWフィルター』という部品が入っていて、通話やデータ通信に必要な周波数だけを選び取る働きをしています。その部品に欠かせない材料が、この単結晶ウェーハなんですよ」
実際に見せていただいた単結晶は、宝石のように鮮やかで、手のひらに収まるほどの大きさながらずっしりとした重さがあり、この初めての感覚に、取材は驚きから始まりました。

普段、外から見えませんが、まさに最先端技術で生活を便利にしてくれる「通信革命の立役者」といえる存在です。
創業100年の歴史と挑戦
山寿セラミックスの創業は1925年。
もともとは陶磁器の輸出業からスタートしました。
その後、「より高度な素材づくり」に挑戦し、半世紀以上前から単結晶の製造に取り組んできました。
当時は手がける企業が少ない分野であり、まさに挑戦の連続の中、長年にわたる研究開発の積み重ねを経て、尾張旭市の本社工場、瀬戸工場、常滑市セントレアの結晶材料研究所の3つの拠点を構え、高品質な結晶を安定して生産できる国内有数のメーカーへと成長しました。
現在は、単結晶ウェーハ市場の世界4強の1社となり、業界では誰もが知る有名企業となっています。
高い技術力の理由
単結晶ウェーハの製造は、非常に繊細な管理と高度な技術を必要とします。
ウェーハ表面には、ほんのわずかな凹凸も認められません。
研磨工程の担当者は、「尾張旭市の面積程の直径5kmの円盤があったとしたら、その広い円盤の中で500円玉の厚みを見つけるくらいのイメージです。非常に高度な技術が求められるんですよ。」と語ってくれました。
山寿セラミックスでは、人の手による技の熟練化と機械化への投資を積極的に進め、
- 別の原料を混ぜ合わせる高難度製造技術
- より大きなサイズの結晶をつくる技術
- 性能を高める独自開発の改良技術
などの独自技術を磨き、他社と差別化を図ってきました。
こうした研究開発力と技術力が評価され、同社の製品は国内外の電子部品メーカーから厚い信頼を得ています。
未来を見据えた研究開発
通信技術は年々進化しています。
5G時代では、従来よりも通信の速度や容量が飛躍的に向上し、機械に使われる素材にもさらなる高性能化が求められています。
山寿セラミックスでは、研究開発拠点を設け、結晶の研究や、より効率的な製造方法の開発に取り組んでいます。
この研究開発によって、生産能力の向上だけでなく、環境負荷の低減も図られているといいます。
“今ある技術を守る”だけでなく、“次の時代を見据える”。
その姿勢が、大きな強みとなっています。
また、現在、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する国家プロジェクトに参画し、光量子コンピューター産業化に向けた研究開発を進めています。
昨今、生成AIの急速な普及により、データセンターでは電力消費量が従来の10倍ほどに増大し、環境負荷やエネルギーコストの上昇が深刻な課題となっています。
山寿セラミックスは、この課題を解決する一員として、世界中から注目を集める量子コンピューターの超高速計算処理の持続可能性に向けた研究開発に取り組んでいます。
「光量子コンピューターの産業化には、特殊な集積回路が必要です。私たちは、その回路に欠かせない素材を供給するための研究開発を担っています」と担当者は説明してくれました。
地域とともに
本社を尾張旭市に構える山寿セラミックスは、長年にわたり地域に根ざした企業活動を続けてきました。
世界を相手にビジネスを展開しながらも、地元での雇用創出や人材育成にも力を入れています。
若手社員が新技術の開発に携わる機会も多く、次世代を担う人材が育つ環境づくりにも取り組んでいます。
これからも、山寿セラミックスは、高度な技術で社会を支えながら、地域とともに成長を続けています。尾張旭市から世界最先端の技術にますます夢が広がっていきます。
基本情報
企業名:株式会社山寿セラミックス
創業:大正14年11月3日
代表者:代表取締役社長 永井 繁彦
資本金:99.974百万円
従業員数:153名(2025年12月現在)
本社所在地:愛知県尾張旭市三郷町角田1123
公式ホームページ:http://www.yamajuceramics.co.jp/<外部リンク>
Tel:0561-53-5111/FAX:0561-53-5115








