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生活保護
生活保護とは
生活保護とは、憲法第25条(生存権保障)の理念に基づく生活保護法により実施されるもので、生活に困窮している世帯に対し、その困窮の程度に応じて、必要な保護を行い、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するとともに、自立を助けることを目的とした制度です。
経済的に不足するところを補うことで日々の暮らしを保障し、「生活の立て直し」や「自立の助長」を目的とした支援を行います。
生活保護の申請は「国民の権利」です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもありますので、ためらわずにご相談ください。
「困窮に関する相談」や「生活保護の手続き」は、
市役所 福祉政策課、福祉課【1階6番窓口】で受け付けしています。
1 生活保護の手続き
2 申請に必要な書類等
3 生活保護の原則
4 保護の要件
5 生活保護費(最低生活費)の考え方
6 生活保護の種類
7 生活保護の権利と義務
1 生活保護の手続き
- 相談
福祉政策課【1階6番窓口】で、まずは困りごとをご相談ください。
生活保護の相談・手続きは、福祉課で行います。
※ 電話での相談もできます。また、ご相談内容の秘密は守られますので、安心してご相談ください。
2. 申請
生活保護の利用には、本人の意思で申請することが必要です。
申請は、福祉事務所にある申請書類に記入し、提出します。
また、申請に伴い、調査に必要な書類や資産状況を確認できる資料などが必要になることもあります。
なお、何らかの事情で本人が申請できないときは、親族などが代理で申請することができます。
※ 明らかに窮迫した状況にあるときは、本人からの申請がなくても、福祉事務所の判断で生活保護の利用を開始する場合もあります。
3.調査
申請後、担当の職員(ケースワーカー)が資産状況などを調査し、生活状況を具体的に確認するため家庭訪問をします。
調査のあと、生活保護による支援が必要かどうかを審査します。
4.決定
調査の結果、保護を受けられるかどうかは申請のあった日から、14日以内(特別な事情がある場合は30日以内)に決定されます。
※ 保護の開始が決定されたときは、申請のあった日に遡って保護を開始します。
2 申請に必要な書類な等
- 健康保険証(社保・国保)※国民健康保険証の場合は返還していただきます。
- 通知カードまたは個人番号(マイナンバー)カード
- 世帯の収入・資産等の状況がわかる資料(通帳の写しや年金証書、給与明細等)
- 障害者手帳(持っている場合のみ)
- 在学証明書と本人(高校生)名義の預金通帳(世帯員に高校に在学している者がいる場合のみ)
- 上記以外にも、必要に応じてその他の書類を提出していただく場合があります。
3 生活保護の原則
● 世帯単位の原則
生活保護は、申請者と生計が同一の場合、原則として同一世帯となります。また、実際にお住いの世帯を一単位として決定されます。
世帯の認定は、戸籍や住民票によらず、同じ家で生活している方を同一世帯として認定します。
そのため、原則として世帯のうち特定の方のみの保護を実施することはできず、世帯全員で保護が必要か否かの判断をします。
※ 血縁関係のない同居人についても、原則として同一世帯員として認定します。
※ DV被害等により、同一世帯員として認定することが適切でない場合は、別世帯と
して認定することがあります。
● 居住地保護の原則
生活保護は住民登録によらず、居住実態によって実施されます。住民票を移していない場合でも、実際にお住いの自治体で保護の相談を受け付けます。
※ 住居のない方(路上生活をされている方も含む)についても生活保護の相談を受け付けています。なお、相談の窓口は、現在お困りの場所(現在いる場所)を管轄する自治体となります。
※ 病院入院中や障がい者、介護施設等に入院中の方は、取扱いが異なることがありますので、個別にご相談ください。
4 保護の要件
生活保護を受けるには、利用できる資産、能力、その他あらゆるものを活用することを要件としています。利用できる資産を保有している場合などは、まずはその資産(年金や手当、雇用保険など)を活用していただくことが必要です。
● 資産の保有
生活保護を受けている間は、資産の保有に一定の制限があります。
- 自動車、バイク
自動車やバイク等の保有には、一定の制限があります。ただし、最低限の生活維持に必要がある場合(病気や障がいがあるための通院、通勤等に自動車を必要とする場合など)は、保有が認められる場合があります。
また、総排気量125cc以下のオートバイ及び原動機付自転車については、保有が認められる場合もあります。詳しくは、お問い合わせください。
- 生命保険
貯蓄性や保険料の高い生命保険については、保有が認められない場合があります。保有の要件については、お問い合わせください。
- 不動産
居住用の土地・家屋は原則として保有できますが、処分価値が高い場合は売却処分の対象となります。また、住宅ローンを生活保護費から返済することは、原則として認められません。
- その他
高価な貴金属や有価証券等、金銭的な価値があるものについては、保有の制約がある場合がありますので、詳しくは、お問い合わせください。
● 能力の活用
働ける方は、その能力や状況に応じて就労し、収入を得るよう努める必要があります。福祉事務所では、求職活動をするにあたり、就労支援や職業訓練などの支援を行っております。
また、病気や障がいを理由に就労が難しい方は、その程度に応じて医師と相談し治療を受け、健康の保持や増進に努めてください。
● 他の制度の活用
生活保護以外にも年金、各種手当、医療費助成、各種社会保障など、生活を支えるための様々な公的制度があります。活用が可能な制度がある場合には、それらを優先して活用してください。詳しくは、お問い合わせください。
● 扶養義務について
親族からの扶養は保護の要件ではありませんので、親族がいても保護を受けることができます。ただし、親族から仕送りや養育費等を受けとる場合には「収入」として認定しますので、親族の 方に可能な範囲での援助についてお伺いすることがあります。
親族からの援助は、金銭的な援助に限らず、緊急時等の連絡先となっていたり、各種手続きの際に同席していただくなど、金銭によらない支援についてもお伺いします。
なお、お話を伺って、DV(家庭内暴力)や虐待、長年疎遠な関係である等の特別な事情があり、扶養が期待できないと判断した場合には、親族への照会を行いませんので、事前に担当のケースワーカーにご相談ください。
5 生活保護費(最低生活費)の考え方
(1)支給される生活保護費
-
厚生労働大臣が定める基準で計算される「最低生活費」と「収入」を比較し、収入が最低生活費に満たない場合には、最低生活費から収入を差し引いた差額が生活保護費として支給されます。自分で得ることができる収入が最低生活費を超える場合には、生活保護の利用はできません。
最低生活費(世帯の人数や年齢などによって決定されます。)
世帯の収入(就労収入、年金、手当、仕送りなど)
不足してしまう生活費 ⇑ 生活保護費
(2)収入の取扱い
給与収入に限らず、年金や手当、保険金、相続財産、物品の売却収入、宝くじの当選、借入金等の受給中に受け取ったすべての収入を届け出る必要があります。
(3)保護費の支給方法
- 毎月の保護費
保護費は、原則として毎月5日(5日が土日、祝日に当たる場合は、その直前の平日)に指定の金融機関へ振込みします。
- 臨時の保護費
アパートの契約更新料や通学定期代など、臨時で必要となる一時的な保護費については、翌月分の保護費に合わせて支給するか、臨時的に支給します。
6 生活保護の種類
生活を営む上で生じる費用 | 扶助の種類 | 支給内容 |
---|---|---|
日常生活に必要な費用 (食費・被服費・光熱費等) |
生活扶助 |
・食費等の個人の年齢や世帯の人数などで算定します。 ・光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出します。 ・特定の世帯には加算があります。(母子加算等) |
アパートの家賃など |
住宅扶助 |
家賃、地代、住宅の補修等の費用を定められた限度額内で支給します。 |
義務教育を受けるために必要な学用品費や給食費など |
教育扶助 |
定められた最低限必要な経費を支給します。 |
医療サービスの費用 医療費や通院のための交通費など |
医療扶助 |
費用は直接医療機関へ支払います。(保険適用内であれば、自己負担なし) |
介護サービスの費用 |
介護扶助 |
費用は直接介護事業所へ支払います。(原則、自己負担なし) |
出産費用 |
出産扶助 |
定められた限度額内で実費を支給 |
就労に必要な技能、資格習得にかかる費用、高等学校就学費にかかる費用 |
生業扶助 |
定められた限度額内で実費または基準額を支給します。大学や専門学校への進学費用に対しても、さまざまな制度があるので、ご相談ください。 |
世帯員が亡くなった際に必要な葬祭費用 |
葬祭扶助 |
定められた限度額内で実費を支給します。 |
※ その他、国民年金保険料、市県民税、NHK放送受信料、住民票交付手数料等の減免等を受けることができるので、ご相談ください。
7 生活保護の権利と義務
(1)生活保護を受ける方の権利
生活保護を利用する方には、次のような権利が保障されています。
● 条件を満たせば、すべての方が平等に生活保護を利用できます。
● 正当な理由なく、保護費を削減されたり、生活保護が利用できなくなったりすることはありません。
● 受け取る保護費や保護の物品に対して、税金がかけられたり、差し押さえられたりすることはありません。
(2)生活保護を受けるうえで守らなければいけないこと
生活保護を受ける方には、「生活の維持」や「自立した生活」が送れるようになるため、次のような義務があります。
● 生活上の義務
- 節約を心がけ生活の維持、向上に努めてください。
- 働ける方はその能力に応じて、働いて収入を得ることができるよう努めてください。就労の可能性のある方については、就労に向けた助言や指導を行います。
- 病気やけがで働けない方は、病院を受診し、治療に専念して、健康の保持や増進に努めてください。
● 届出の義務
生活状況に変化があったときは保護費の調整をする必要がありますので、必ず届出をしてください。
<収入に変化があったとき>
- 収入があったとき(ボーナス、退職金、過去の給料、臨時収入、認められていない借入金等)や、年金などの定期的な収入が増えたり減ったりしたとき
<世帯や生活状況に変化があったとき>
- 家族の人員が増えたり減ったりしたとき(出生・死亡・転入・転出など)
- 住所を変更したり、長い間家を留守にするとき
- 仕事を始めたり、辞めたり、変えたりしたとき
- 就労先の社会保険に加入したり、親族の扶養家族として社会保険に加入したとき
- 家賃、地代が変更されるとき
- 新たに通院を始めるとき、通院を中断するとき、入院するとき
- 自立支援医療受給者証、指定難病医療受給者証を取得・更新・喪失したとき
- その他、生活状況に大きな変化があったとき
● 指導・指示等に従う義務
福祉事務所は生活の維持・向上や保護の目的を達成するために必要な場合、法律に基づいた指導や指示をすることがあります。この指導や指示に従っていただけない場合、所定の手続きを経て保護の停止や廃止となることもあります。
(3)生活保護の返還が必要な場合
● 費用返還
次のような事が発生した場合、支給した保護費を返還していただく場合があります。
- 収入の金額に変更があった場合や、新たに収入があった場合
⇒正しい収入額で保護費を再計算した結果、過支給となった場合は、支給済の保護費を返還していただく必要があります。
- 保護開始時に保有していた不動産や自動車などの資産の売却により、資力が現金化された場合
⇒保護開始以降に支給した保護費(医療費含む)を返還していただく場合があります。
- 年金や手当を遡って受給した場合
⇒その支給対象月に支給した保護費に応じて保護費を返還していただく場合があります。
● 費用徴収
故意に事実と異なる申告をしたり、収入の申告を行わなかった場合や福祉事務所が説明を求めた際に応じなかったり、虚偽の説明をした場合は、不正受給と判断される場合があります。
不正受給と判断されると、不正受給した金額を徴収し、場合によってはその金額の40%以内で加算金を徴収する場合があります。加えて、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金の罰則が科せられる場合もあります。