本文
本市では、令和7年10月1日から被災地支援のため、本市職員を再び石川県輪島市役所に派遣しています。
広報おわりあさひにて、現地の様子などを掲載した「輪島市派遣職員レポート」をホームページでも紹介します。
輪島市は、公費による家屋解体が申請数の約9割まで完了している状況です。市内では崩れた家屋などはなくなり、更地になっているところが多いと感じます。しかし、道路の損傷などで重機が入れず、解体作業が思うように進まない場所も一部残っています。また、市内の至る所で復旧工事による交通規制が行われており、市全体の復旧が完了するまでにはまだ時間がかかるような印象を受けました。
先日、解体家屋のがれきが集まる仮置き場を見学する機会がありました。がれきは事業者により丁寧に分別された後、県外の処理場へ運ばれていくそうです。このほか、地震で隆起した漁港の再建調査や、昨年の能登豪雨で崩落した斜面の復旧工事なども進められています。
毎日、能登方面には多くの支援事業者の車両が集まっています。県外ナンバーの車両とすれ違うたびに「ありがとう! がんばろう!」と励みになります。
解体家屋のがれき仮置き場
地震によって隆起した漁港
私が輪島市に着任した昨年9月の時点で5%程度であった解体率が、2月末時点で50%近くまで伸びて きました。着任当初は窓口での受け付け業務がメインでしたが、申請後に解体業務が進むにつれて、現在では 解体費の支払い事務を担っています。こちらも事務のピークを迎えており、多い時には1カ月で20億円程の 解体費を支払うこともあります。
また、今年1月から2月にかけては、大雪に見舞われました。私が宿泊している、のと里山空港は、市内でも比較的積雪量が多く、毎朝車に積もった大雪を派遣職員同士で雪かきしてから出勤します。私の部屋は、水道管が凍結し、エアコンが故障したため、別の部屋に引っ越ししたこともありました。
少しずつではありますが、輪島市の職員との交流も増えてきました。前回紹介した、宿泊先のフードコート で、輪島市の職員と交流会を開催しました。フードコートには元々市街地で営業していた店舗もあり、輪島市職員のかたが懐かしそうに食事している姿が印象的でした。また、輪島市職員自身もほとんどが被災しており、震災直後の貴重な話をたくさん聞くことができました。
最後になりますが、私は3月末で派遣業務を終了し、尾張旭市に帰任します。現状、復興という言葉にはほど遠く、長期的な支援が必要です。その中で、人やまちの様子が少しずつ明るくなっていく過程に立ち会えたことが、何よりの喜びでした。また、仕事を通じて培った経験と人脈は、大きな財産となりました。1日でも早く元の生活に戻ることをお祈りします。いろいろなかたのお力添えのおかげで、職務を全うすることができました。ありがとうございました。
フードコートでの交流会
宿泊先の積雪
輪島市内にある2つの支所での公費解体の申請受付窓口は10月末で終了し、現在は受理した申請の解体 工事が進められていますが、解体業者も多くの解体案件を抱え、解体時期がはっきり回答できない状況が続 いています。しかし、少しずつではありますが、明るい話題も増えてきました。 輪島市のシンボルだった「朝市」は、市街地のスーパーマーケット内で一部店舗が復活し、かつてのにぎわいを取り戻しつつあります。また、空港にはおしゃれなフードコートもできました。このフードコートは、市街地 や朝市で被災した店舗を中心に5~6店舗が集まっており、夕食時には満席になることが多く、にぎわっています。店舗が市街地にあった時から通っていた常連のお客さんが、このフードコートで店員と話しながら食事をしていました。わずかではありますが復興の一面に立ち会えた喜びは忘れられません。
朝市
フードコート
震災当時、しばらくはガラスが割れた学校の教室や廊下で、段ボールを床に敷いて寝泊まりをしていたそうです。食事は1日500mlの水とビスケットのみだったそうです。
11月時点で全国の都道府県から、80人近くの職員が派遣されており、私のいる公費解体の部署以外にも道路や上下水道など、約10カ所の部署に配属されています。
大きな被害はありませんでしたが、私自身、就寝中、緊急地震速報とともに飛び起き、直後に揺れ始めると、ベッドにうずくまったまま身動きがとれませんでした。すぐに避難用の荷物をまとめましたが、普段から自分自身での備えが最重要であると、再認識しました。震災から1年を迎えるこの機会に日頃の備えを見直してみませんか。
輪島市では、昔ながらの木造の家屋、土蔵や納屋などの建物が多く、地震の影響で1階部分が倒壊した建物が、震災から6カ月が経った現在も、町中で散見されます。 私は、輪島市役所で、公費解体業務に従事しています。公費解体業務とは、そういった被災家屋などについて、二次災害の防止と被災者の負担軽減を図り、生活再建支援につなげるため、輪島市が所有者に代わって解体・撤去などを実施するものです。申請には必要書類が多く、集めるだけでひと苦労で、スムーズに申請が終わるケースはあまりありません。また、申請が受理されてからも解体開始が来年の予定で、解体が終わって更地になるまではかなりの時間がかかります。
また、9月に豪雨の被害も受けました。市役所前の橋には、大きな流木が大量に引っかかっており、氾濫した河川から土石流が道路中にあふれていました。変わり果てたまちの姿をただ眺めることしかできず、やりきれない気持ちでした。
最近は、地元の飲食店やスーパーなどが再開したりと、少しずつではありますが復興への兆しが見えてきています。今後も輪島市の復興への様子をお伝えしたいと思います。
能登半島地震により倒壊した家屋
能登豪雨により氾濫した河川