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令和6年第1回尾張旭市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に関する所信と、令和6年度における重点施策の概要を申し述べます。
本日は冒頭、能登半島地震について触れさせていただきます。
今年のお正月早々、元日に、能登地方で巨大地震が発生し、多くの方がお亡くなりになられました。
御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に、お見舞いを申し上げます。
特に本市は、輪島市との間で、長年にわたり、「大規模災害等における相互応援に関する協定」、いわゆる災害協定を結んでいるご縁もあり、国や県からの要請とは別に、独自の継続的な支援をしてまいります。
私が発災直後に指示して実施した呼び掛けにより、多くの市民、各種団体や企業の皆様方から、心温まる支援金や物資、マンパワーの提供をいただくことができました。
また、支援金につきましては、現地の状況が許せば、3月議会最終日以降、早期に輪島市へお届けしたいと考えています。
特に、地区のどんど焼きなどの場で、また各学校において、多くの子どもたちが自発的に声を上げ、熱心に募金活動に取り組んでくれたことに、深く感動をいたしました。
御協力をいただいた皆様に、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
市民の皆様、議員各位におかれましては、今後も長期にわたり、被災地に対し、温かいお気持ちを、お寄せいただきますよう、お願いを申し上げます。
さて、昨年2月3日に第6代尾張旭市長に就任してから、1年余りが経過をしました。
振り返ってみますと、40年以上勤めた会社員生活は一変し、これまでの人生の中で、間違いなく、最も激動・激変の1年でありました。
昨年はコロナ禍も落ち着き、市内各地のお祭りも復活開催されるなど、大変な賑わいとなりました。
そうした場で、多くの市民の皆様と交流することができたことは、新人市長としては誠に幸運でした。
結果的に、多忙な日々が続く状況ではありますが、イベントや会合などへ、挨拶や参加のお声掛けをいただき、御希望によっては記念写真を一緒に撮り、60歳代後半のおじさんながら、どなたからも喜んでもらえます。
市民の皆様が、私に会って笑顔になっていただける限り、頑張れる気がしています。
元気をもらうということは、正にこういうことを言うのだと、しみじみと感じ入っています。
令和6年度を迎えるに当たり、まずは、令和6年4月からスタートする、本市の最上位の計画である総合計画について、述べさせていただきます。
その基本構想の冒頭では、めざすまちの未来像を、「幸せつむぐ 笑顔あふれる 尾張旭」と謳いました。
「幸せつむぐ」は、市民一人ひとりが安心して、いきいきと暮らし、人それぞれの「幸せ」を、多様な主体が手を取り合って実現し、それらを積み重ね、世代を超えてつないでいく様子を表しています。
「笑顔あふれる」は、全ての人が、お互いを思いやり、助け合いながら、安全で快適に楽しく過ごし、充実した暮らしを送ることにより、市内のあちこちで笑顔が生まれ、それがまち中に広がっていく様子を表しています。
幸せをつむぐことにより、笑顔があふれ、その笑顔が、また、幸せをつむいでいく。
そうした想いの下、今後10年間、この未来像に向かって、尾張旭に関わる全ての皆様とともに、その実現に注力してまいります。
それでは、令和6年度における、重点施策の概要について、申し上げます。
私の重点施策の1項目め、一丁目一番地は、就任当初より「安全安心」です。
令和6年度は、特に、「防災」について、最優先で取り組んでまいります。
1年前の所信表明で申し上げた、「大規模災害に備えた体制等の強化・拡充」や「地域防災力の強化」への想いは、今回の能登半島地震で、より強固なものとなりました。
私自身、昨年11月に輪島市を訪問し、市長をはじめ、議員や職員の皆様と交流させていただいたばかりでした。僅かその1か月半後に、あの美しい街並みが一変してしまう現実を目の当たりにし、平時の時にこそ、災害に備える心構えが重要なのだと、再認識いたしました。
本市では、発災直後から、緊急消防援助隊を筆頭に、多くの職員を、被災地の支援に送り出しました。職員が、被災地で、肌で感じ、得た教訓を、施設整備の考え方や既存のマニュアル、訓練に取り入れ、見直すべきところは見直しながら、防災体制を強化してまいります。
そして、防災の基本は、自助・共助・公助であり、行政だけでは、防災体制の全てを担うことはできません。
特に、発災直後においては、その災害規模が大きくなればなるほど、行政支援が滞るおそれがあり、個人や家族、地域において、それぞれに応じた、十分な備えと心構えが重要です。
市民や地域団体、事業者の皆様と一体となって、まち全体の防災の機運を高めながら、安全安心が確保された、強靱な尾張旭を創り上げてまいります。
具体的な取組として、防災では、指定避難所である公民館や東部市民センター、全3中学校の体育館について、空調整備や、トイレの洋式化に着手するなど、環境改善に向けた取組を進めてまいります。
また、大型の防災倉庫を新設し、既存物資の集約化を図ることで、被災者に対して、素早く必要な物資を届けられるよう、防災体制を整備します。
防災資機材については、今回の被災地支援に関わった職員の経験を活かし、厳しい気象条件下においても円滑な活動ができるよう、内容の充実を図ります。
ハザードマップについては、最新情報へ更新した上で、全戸配布し、今一度、身の回りの安全度の確認を促し、防災意識の向上を図ります。
浸水対策では、南原山地区の雨水排水施設整備を完了させるほか、平子地区においても、新たに整備を進めます。
次に、防災以外の「安全安心」施策として、消防・救急体制では、令和7年4月からの名古屋市等との通信指令業務の共同運用に向け、引き続き準備を進めます。
交通安全対策では、生活道路整備基本計画に基づき、歩道整備や狭あい道路の拡幅整備、防護柵の設置などの取組を進めます。
また、自転車乗車用ヘルメットの着用率向上のため、ヘルメット購入補助金の対象者を、全年齢に拡大します。
そのほか、老朽化が進んだ公園のベンチ更新を加速化するなど、各分野で安全対策に取り組みます。
次に2項目め、「健康・福祉」についてです。
全ての市民が健康に関心を持ち、健康づくりに積極的に取り組んでいただくため、令和6年度で20周年を迎える「健康都市」の取組を引き続き推進し、その成果を発信してまいります。
そのほか、帯状疱疹ワクチン接種費用や、若年がん患者に対する在宅療養費の助成制度の導入に加え、産婦健診の助成回数の拡充など、各種施策の充実に取り組んでまいります。
また、長引く物価高騰を踏まえ、国民健康保険税の急激な上昇を緩和するため、一般会計からの財政支援を行い、被保険者の経済的負担を軽減します。
次に3項目め、「子育て・教育」についてです。
「子育て・教育」は、防災と並び、特に注力すべき施策として考えています。
かねてより、少子超高齢社会と人口減少問題への対応が、喫緊の課題であると、繰り返し申し上げてきました。
幸いなことに、本市の人口は現在、84,000人を境として、微増・微減の範囲で踏みとどまっていますが、全国の傾向と同じく、本市においても、出生数の減少と高齢化率の上昇が、顕著となりつつあります。
残念ながら、これらの課題の特効薬は無いため、まずは、子どもを安心して育てられる環境の整備が急務です。
多様なニーズを的確にとらえながら、ハード・ソフトの両面の取組を着実に進めてまいります。
主な取組として、本地ヶ原保育園の園舎増築に着手するとともに、保育園の廊下や遊戯室の床を改修するほか、児童館の空調や外壁の改修など、子育て施設の環境改善を図ります。
また、瑞鳳校区での民間学童クラブの開設に向け、施設改修費等の補助金を交付します。
小中学校については、小学校2校でトイレ改修を実施し、全小学校の改修を完了させるとともに、熱中症対策として、中学校の運動場に日よけを設置するなど、学校施設の環境改善を図ります。
そのほか、先に述べました全3中学校の体育館への空調設備設置は、防災面とともに、熱中症対策として、確実な効果が見込めます。
また、小学校における民間プール施設を活用した水泳授業は、2校から6校に拡充するほか、中学校の部活動では、外部講師を充実するなど、教育の質の向上と、教員の多忙化解消に取り組みます。
いじめ・不登校対策については、中央公民館に教育支援センターを新たに設置するとともに、東中学校に校内教育支援センターを開設するなど、児童生徒や保護者の支援体制の更なる強化を図ります。
また、深刻な物価高騰を踏まえ、引き続き、保育園と小中学校の給食材料費の高騰分を公費で負担し、子育て世帯の経済的負担を軽減します。
次に4項目め、「経済・多様性」についてです。
「経済」に関しては、長引く物価高騰が、地域経済における大きな懸念事項です。
事業者への省エネ設備更新や導入の促進を図るため、令和6年度から、より充実する省エネ設備投資促進補助金制度を活用し、物価高騰対策を拡充します。
また、尾張旭の魅力商品開発プロジェクト「旭色」の第4弾をスタートさせるほか、先般、完成報告会を行った「旭色みやげ」の継続的なPRに注力してまいります。
加えて、創業支援や就労支援等を実施し、商工会、農協、観光協会、ハローワーク瀬戸などの関係機関と、緊密に連携をしながら、地域経済の更なる活性化と雇用の創出を図ります。
「多様性」に関しては、次期男女共同参画プランの策定やファミリーシップ制度の運用など、ジェンダー平等社会の推進に向けた取組を進めるほか、外国籍の住民増加を踏まえ、日本語教室の開催など、多文化共生社会の推進に取り組みます。
次に5項目め、「環境・都市基盤」についてです。
「環境」対策では、令和6年度から始まる、新たな環境基本計画に基づき、脱炭素化や地球温暖化対策のほか、環境衛生対策や資源循環型社会の取組を推進します。
また、公園や緑地に関しては、次期緑の基本計画の策定に着手するほか、旭台第1号公園をリニューアルするとともに、森林公園などにおいて実施される第70回全国植樹祭の5周年事業を契機に、自然を身近に感じられる取組を推進し、憩いの場の提供に努めます。
「都市基盤」に関しては、健全な行財政運営を前提としつつ、三郷駅周辺まちづくり事業と北原山土地区画整理事業の二大事業について、組合や市民、事業者の皆様と協力して、着実な進捗を図ります。
また、将来のまちづくりを見据えて、令和8年度から始まる、次期都市計画マスタープランの策定を進めます。
そのほかの主な取組として、印場駅では、駅北側のバリアフリー化に向け、令和8年度の事業完了を目指し、設計業務に着手します。
市道南栄6号線整備事業は、令和6年度末までに完了し、相互通行となることで、渋滞の緩和など、交通の利便性を向上させます。
上下水道事業では、中長期的な経営分析を行うことで、経営効率化に努めるとともに、水道管の耐震化、下水道管の布設整備を着実に進めます。
最後に6項目め、「共創・行政経営」についてです。
「共創」に関しては、コロナ禍が落ち着いてきたことで、地域コミュニティ活動が活発になりつつあります。
この流れを後押しできるよう、自治会や市民活動団体等との連携を深め、各団体のニーズに即した支援に努めるほか、お祭りやイベント等を地域と共に盛り上げ、にぎわいを創出することで、活力あるまちづくりを推進します。
「行政経営」に関しては、社会情勢の変化に伴い、行政が対応すべき課題は増加し、また、複雑化しています。こうした中において、限りある人的・物的資源の更なる効率化、効果的な活用が求められています。
そのため、行政手続のオンライン化など、デジタル化の推進や、公共施設等総合管理計画に基づく施設の長寿命化を着実に進めます。
また、私の肝煎りで始めたチャレンジ事業を核として、職員が積極果敢に挑戦できる組織風土の醸成、風通しの良い職場づくりに取り組むことで、組織力の強化を図り、持続可能な行財政運営を行い、質の高い行政サービスの提供に努めます。
以上、重点施策の概要について、御説明を申し上げました。
ここで、新しい総合計画について、今少し、説明を付け加えさせていただきます。
本計画策定の過程においては、市民や各種団体・事業者・有識者など、多くの皆様から貴重な御意見をいただきました。
幅広い視点を取り入れることで、本市に関わる全ての世代の市民が共有可能な、めざすまちの未来像「幸せつむぐ 笑顔あふれる 尾張旭」と、それを実現するためのまちづくりの基本方針を掲げることができました。
本施政方針に組み込んだ重点施策は、この総合計画の4つの基本方針にも沿ったものとなっており、尾張旭市を更なる発展に導く道標とすることができたと、確信をしています。
また、令和6年度は、本市の象徴的な取組である「健康都市」と、イメージキャラクター「あさぴー」が、共に20周年を迎えます。
これまでの歩みを振り返るとともに、これからも、笑顔あふれる健康なまちであり続けることを切に願い、多くのイベントを企画し、節目の年を、市民の皆様と一体となって、盛り上げてまいりたいと思います。
そして、本年4月1日付けで庁内の組織変更を行い、広報広聴課を広報戦略課とし、秘書課を含めた「市長公室」を創設します。
市長のトップマネジメントを補佐し、情報の集約・発信機能を強化することを目的としています。この変更は、本市のブランド価値向上を目指すことはもちろんですが、私は、民間企業での知見も踏まえた持論として、内部的に広報部門を常に意識する組織は、自ずと透明性が高まり、ガバナンスが強化されると考えています。
こうした新たな風、変化を交えながら、魅力あるまちづくりを推進し、「昨日よりも今日、今日よりも明日がもっと輝き、幸せを実感できる街」を目指してまいります。
最後に、市民の皆様や、議員各位の多大なる御理解と御協力を心からお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。