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歩く、野菜を食べる、笑う、無理をしない、緑を見る、きれいな空気を吸う…
「健康」と聞くと、何を思い浮かべますか?
尾張旭市は、「健康は市民全ての共通の願いである」という考えに基づき、平成15年から「健康づくりのまちづくり」を市の最重要施策の一つに位置づけています。平成16年には健康都市連合の設立メンバーとして加盟承認。「健康都市」の実現に向けて、多くのかたたちと共に歩んできた「健康都市 尾張旭」の20周年を特集します。
問い合わせ先/健康都市推進室 Tel76-8101
昔は、治療・予防など個人の努力で、からだを健康にしようという考え方が中心
現代では、からだの健康に気を付けていても個人では解決できない、健康を害する要因がたくさん…!
健康になるには、からだ・こころ・まちの健康をみんなで目指すことが大切です。
日本が所属するWHO西太平洋地域事務局の呼びかけにより設立された、市民生活の質と健康の向上を目指す都市と関連団体の国際ネットワーク組織
9カ国188都市54団体(日本からは、37都市4団体)が加盟(令和6年12月1日現在)
本市は、平成28年~令和3年の約5年間、日本の加盟都市を代表し、健康都市連合の「理事」を務め、西太平洋地域の健康都市の取り組みを先導しました!
平成16年から原則隔年で開催される健康都市連合国際大会では、優れた健康都市の取り組みを表彰する制度があり、本市は市民・団体・学校・企業の皆さんと連携して健康都市づくりに取り組んでいることが高く評価されています。
ASEAN諸国や台湾、韓国、ヨーロッパ諸国 など
20年間、高い水準で増加し続けています。
コロナ禍を経ても割合は増加し、令和5年には90%を超えました。健康都市のさまざまな取り組みが着実に市民の間に浸透していることが分かります。
からだ・こころ・まちの健康づくりに取り組んでいる皆さんにお話を伺いました。
旭野高校陸上部で、ハンマー投げの選手として活躍する脇田さんに「健康」について伺いました。
旭野高校陸上部2年生 脇田晃介さん
小学1年生から陸上を始めて、4年生のときにジャベリックボール投げという競技に出会いました。そこから徐々に投げることに魅力を感じ、旭中学校ではジャベリックスローや砲丸投げをしていました。そして、高校でハンマー投げを始めたら、その面白さに魅了されました。陸上は個人競技ですが、練習中はアドバイスをし合ったり合宿をしたりと、仲間がいるだけでやりがいも楽しさも全然違ってきます。今では、後輩の成長を見るのもとても楽しいです。
小さいころから運動をしていたおかげで、感情表現が豊かになったと思います。仲間からは、スポーツのときは目の色が変わると言われるくらい感情が表に出ます。また、ずっと勉強していたり家にこもったりしていると気持ちが落ちたりしますが、からだを動かすと気持ちが晴れてストレス解消になっています。
陸上は、いつ始めても伸びる可能性のある競技でとても楽しいです。大学でも陸上を続けていきたいです。
スポーツ庁が全国の小・中学生を対象に行った調査では、子どもの体力が年々減少しています。
子どものころから、からだを動かす習慣を付けましょう!
幼少期からの運動は、さまざまな好影響を与えることが分かっています。
●体力・運動能力の向上 ●健康的なからだの育成 ●意欲的なこころの育成
●社会適応力の発達 ●認知的機能の発達
市のスポーツ事業
よくいろいろな公園に出かける、岡さん親子と稲葉さん親子に「健康」について伺いました。
近所に、芝生や遊具の違いなどそれぞれ特徴のある公園があるため、子どもと気分に合わせて、からだを動かしに行くことが楽しいです。ごみが落ちておらず、きれいに整備されているので、安心して子どもを連れていけます。また、公園で高齢のかたが声をかけてくれたり、公園に行
く途中で近所のかたとも話すようになったり、いろいろな世代のかたと交流が広がりうれしいです。交流を続けながら、子どもが大きくなってからも、公園にウオーキングなどに来て、からだもこころも健康でいたいです。
岡修平さん・枝里さん・優衣奈ちゃん・華蓮ちゃん
夫が自然が好きで、緑や公園の多い尾張旭市に引っ越してきましたが、当時はコロナ禍でなかなか外に出られず、親子共にストレスがたまっていました。今ではほぼ毎日公園に行き、走り回ることで筋力もつき、しっかり食べて早く寝るので、からだに良く、楽しく過ごしています。ま
た、初めての子育てで不安でしたが、公園で同じ年齢の子を持つかたと友達になれて、自然に触れてこころ癒やされ、ゆとりができ、自分も明るくなりました。公園に行くとこころから健康になれます。これからもずっと来たいです。
稲葉澪さん・陽音ちゃん
市内には、気軽に豊かな自然と触れ合うことができる公園や緑地が点在しています。
大小さまざまな公園が点在しており、安らぎや憩い、地域のコミュニティ活動の場となっています。
緑を楽しみながら安全に歩くことができる12のウオーキングコースを設け、各コースの見どころなどをまとめた冊子A-mapを発行しています。
健康に歩くポイントや途中で立ち寄れる「おいしい紅茶の店」なども紹介!
「高齢者趣味の作業所」で陶芸を行う西垣さんに「健康」について伺いました。
西垣勲さん
63歳で仕事を辞めて、元々興味のあった陶芸を東部市民センターの「高齢者趣味の作業所」で行っていることを知り、すぐに入りました。ずっと続いているのは、一人じゃなく仲間たちとおしゃべりしながら、自分のペースで作ることができるからだと思います。今ではメンバーの中で一番長くなり、培った知識を教えることも多く、生きがいになっています。
旅行や買い物などに行くと、陶芸で作れるものはないか、参考にできるものはないか、常に探しています。年に2回市の行事で販売する機会があり、自分の作品が手に取ってもらえるととてもうれしいです。陶芸は手と頭を使うので、からだの健康にも良い刺激になっていると思います。これからも新しいものをどんどん作って、こころもからだも元気でいたいです。
人生で生きがいを持っているかたは、死亡リスクや心血管疾患の発症リスクが低く、健康寿命が長いとされています。尾張旭市は、国や県と比較して平均寿命だけでなく健康寿命も長くなっています。自ら主体的に学び、楽しみや生きがいを持って生活しているかたが多いからかもしれません。
「健康都市 尾張旭」は、さまざまなかたの支えで成り立っています。
市内には67の自主グループがあり、約1,400人が活動しています。その活動を支援するかたにお話を伺いました。
平成17年に「健康づくり推進員会」が設立され、「健康」に関するさまざまな活動をしています。「ボランティア」として自主的に活動して、前向きで活発なかたばかりで良い刺激を受けています。
平成29~30年に行った大学などとの共同研究で、推進員が自主グループを支援することでマンネリ化を防ぎ、参加者の意欲や運動機能を高めることが証明されました。このことで、厚生労働省の「健康寿命をのばそう! アワード」でスポーツ庁長官優秀賞を令和2年度に受
賞しました。この賞のおかげで、「皆さんの役に立っている」と自信を持って活動できています。
「無理なく長く続ける」ことがポイント。これだけのかたが続けられているのは、効果だけでなく、仲間と一緒に行うことができるからだと思います。「家で体操を続けることは難しいけど、ここなら続けられる」という声もいただきます。健康のために若いかたにも参加していただきたいです。
グループを回り、転倒予防やフレイルなどの講話を行っています。20年間、自主的な教室が続いていることはすごいことだと思います。皆さん教室に来るのが生活の一部になっていて、仲間と楽しく笑顔で運動されているので、こころの健康のためにも必要な場所だと感じています。
正しい体操や意欲の維持のために、推進員の存在は大きいです。また、他市と比べて活動場所が多く、自宅の近くで活動できることも続けられている要因だと思います。
今後も、介護予防やスポーツのけが予防など、リハビリ専門職として幅広い世代の皆さんの健康づくりに関わっていきたいです。予防には、若い時から体を動かすことが大切です。子どもの健康や自身の介護予防のために、若い世代にも健康を意識してもらえるとうれしいです。
問い合わせ先/健康課 Tel55-6800
平成17年に医療関係者と考案した、手足におもりを巻いて行う筋力トレーニング。基本的に椅子に座って行い、8種類の動作を無理なく行う
市民の生活習慣病の一次予防と健康増進を目的とした「元気まる測定」をサポートする畳谷さんにお話を伺いました。
健康づくり振興事業団認定の健康づくりリーダーとして、「元気まる測定」が始まった平成13年からサポートをしています。常に意識しているのは、参加者が何を求めているのか。年代でからだの問題も違うので、そのかたに合わせた運動をしてもらい、からだの変化を実感してもらえるよう心掛けています。
自分自身、運動を始めて50年ほどになりますが、体調が良くなかったりプライベートで悲しいことが起きたりしたときも、教室に行くと元気になります。今までいろんなかたに支えてもらって今の自分がいるので、からだはもちろん、こころも健康になるように、参加者との会話も大切にしています。
参加者のかたから「家族が急にからだが動かなくなった」という話を聞くことがあります。からだがどこも悪くなくても、筋力が落ちるとそのようなことが起きることがあります。できるだけ長く自分のことは自分でできるよう、体を動かす意識をしてほしいです。参加者は女性が多いので、男性にもどんどん参加してもらえたらと思います。
問い合わせ先/健康課 Tel55-6800
ライフスタイルアンケートや体組成・体力測定などの結果から、個々の状態に合わせたプログラムシートを作成。プログラムに基づいて運動などを実施し、3カ月かけてからだの変化を実感します。
1コース 半日×全2回
対象者 18歳以上のかた
問い合わせ先/健康課 Tel55-6800
認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを評価。令和22年には、65歳以上の6.7人に1人が認知症になるといわれています。認知症は、早期発見が大切です。
今年度リニューアル!VRを用いて検査
対象者 市内在住で、要介護・要支援認定を受けていない40歳以上
公園の清掃に加え、新たに花壇を設置するなど、積極的に公園の充実に取り組む加藤さんにお話を伺いました。
毎月1回、朝に、約30人で草取りや花のお手入れをして、きれいな公園を維持するよう努めています。清掃は10年近くずっと行っていましたが、公園をより良くするための市の制度を知り、今年度から花苗を植えました。草取りだけでなく、花も育てていると、花の成長がうれしく、気持ちも晴れやかになります。
活動中は、たくさんのかたとコミュニケーションが取れて、みんなで和気あいあいと楽しいです。また、花などできる範囲で緑を増やし、維持することで、まちの景観が良くなり、公園を通り過ぎるかたにも「きれいだね」と言われます。いろいろなかたの癒やしにもなっていることが活動の励みになっています。
活動に参加してから、早起きの習慣や、地域のつながりもでき、緑のあるきれいな公園で過ごせることが、自分の健康に結びついていると思います。地域の中での交流が少なくなった今、子どもから大人まで一緒にまちの景観を保ち、みんなで楽しく活動できたらと思います。
問い合わせ先/公園農政課 Tel76-8161
家の近くの公園でぜひ活動に参加しませんか
●5人以上の賛同者がいる自治会、町内会、子ども会、シニアクラブ、その他公園周辺の地域の皆さんで構成する組織
●約110の団体が活動中
市では、公園をより快適に安心して利用できるよう、公園の維持管理や美化など、公園をより良いものにしようとする活動に対し、2つのプランで報奨金を支給しています。
健康都市連合 事務局長 中村桂子さん
20年前に芽を出した健康都市の木は、じっくり時間をかけて育ち、しっかりと根を張りました。
成果は、尾張旭市だけでなく世界の健康都市の前進にも役立ちました。「どのようにしたらみんなで取り組める健康都市になるか」ということを考え、体験する場としての「あさひ健康フェスタ」、SDGsの目標達成を日々の生活に位置づける工夫、緑豊かな環境を護り育てる中で健康推進を目指す活動などが、健康都市のモデルとなっています。そして、「寝たきりにさせない」「外に出かけたくなる」「住み続けたくなる」まちに向かって、数値でも確かな成果を出せたことは、意義深いことです。
スカイワードあさひの展望室に登って市内を見渡すと、豊かな緑が広がります。市民の皆さんには「あたりまえ」の光景かもしれません。健康都市もいろいろな場面で「あたりまえ」になりつつあります。いずれも貴重なことですが、「あたりまえ」はともするとありがたみが薄れてしまうことがあります。「あたりまえ」を宝物として磨きをかけ、自然環境や地球環境の健康と、市民の豊かな生活と健康を支える都市のさらなる発展を願っています。
「健康」への取り組みが詰まった一冊!あさひ健康マイスター手帳
「健康づくり」は、運動などからだを動かすことだけではありません。日常のちょっとしたことが、「からだ・こころ・まち」の健康につながります。「あさひ健康マイスター手帳」には、今日からできる「健康づくり」もたくさん掲載しています。
さまざまな健康づくりの取り組みに参加し、150ポイント以上を獲得したかたを表彰※する事業。継続的な楽しい健康づくりのきっかけとなるよう、抽選で健康都市に関する記念品なども、企業などと連携し進呈しています。
※表彰は、市内在住・在勤・在学のかたが対象
50ポイント以上で記念品が当たる抽選に応募できます!
記念品 尾張あさひ苑宿泊助成券、あさぴーグッズ、健康器具 など計37種類
「健康都市 尾張旭」となり、からだだけでなく、こころもまちも健康にと、みんなで共に取り組んできた20年。
この20年で皆さんの生活に「健康」が根付いてきたのは、たくさんのかたの協力があってこそ。
健康づくりに取り組む皆さんの姿はとても生き生きとしていて、すてきな笑顔がたくさんありました。
これからもそんな笑顔あふれ、それぞれの幸せが続く「健康都市 尾張旭」でありたい。
何気ないことが「からだ・こころ・まちの健康」につながります。
自分のため、誰かのために、自分に合った健康づくりを始めてみませんか?